あらすじ

夏休み、あすかは近所の友達やその兄弟達と秘密基地作りをしています。そーっと覗きにいった麻美は、そのあまりのおそまつさに手出ししたくってうずうず。家の中に基地を作って、秘密基地ごっこをしてしまいます。
ある日、その基地に一人のおばあちゃんがやってきました。蛇を退治してくれたそのおばあちゃんを、子ども達は隊長の隊長と呼び、基地の留守番をしてもらったり、お話を聞かせてもらったり、楽しい時間を一緒に過ごします。
そのおばあちゃんは、2ヶ月前に近所の宮辺さんの所に引き取られてきたのでした。病気がすすんで寝たきりになったおばあちゃんを、あすかたちはお見舞いに行きます。あすかのことを自分と間違えて呼び、いつも妹をおんぶして偉いねえと話しかけている自分の母を見て、宮辺さんは、老人だと思わず、きちんと優しく付き合えばよかったと後悔するのです。
優しい笑顔のおばあちゃんは、もう基地には遊びに来る事が出来なくなってしまいました。「おばあちゃんきたら教えてあげる」と秘密基地にうめた宝物の話をするあすかに、慶彦は「立派じゃなくていい、優しい人になってくれ。」と語りかけるのでした。
このお話について一言
お年寄りと接する機会が減ったことが、今の子ども達って可哀相だなと思うことのひとつにあげられます。私の育った小さな田舎の町では、近所のお年寄りが昔話、怖い話、武勇伝、いろいろな話を聞かせてくれました。畑にいたずらすると、必ず叱られ、いい子にしていると果物をもらえました。親類のお年寄りだけではなく、となり近所のお年寄りがすべて、自分のおじいちゃん、おばあちゃんのようでした。幸せな時代でした。
おじいちゃん、おばあちゃんがいるからこそ、お父さん、お母さんがいて自分がこの世にいる。だからおじいちゃんおばあちゃんに感謝しよう、と子どもに話しています。4人のおじいちゃんたちが一人でもいなければ、キミはこの世にいなかったんだよと。子どもは不思議そうに聞いていますが、こちらの意図は伝わっているようです。
以前、子どもの学校で老人の感覚の体験をしたことを思い出します。ひじ、膝に重りをつけ、眼鏡と耳栓で視覚と聴覚を鈍くして、校舎を歩いてみたのです。ものすごく不自由で、階段は恐怖そのものでした。少しの段差も恐ろしく、老人はこんな思いをしているのかと実感できました。これからの自分の姿でもある年長者、心からいたわり、大切にして、たくさんの話を聞かせてもらいたいと思っています。